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22-怨王孫・秋已暮

  怨王孫    李清照
  
湖上風來波浩渺 (=雲鎖重樓簾幕曉)
秋已暮
紅稀香少。
水光山色與人親
說不盡        (說=説)
無窮好。    

蓮子已成荷葉老
青露洗      (青=罅
蘋花汀草。
眠沙鷗鷺不回頭
似也恨    (似也=應也・似應)
人歸早。

         ( )内は異本
        (「賞荷」と題するもある)

《和訓》   

湖上に 風の来たりて 波 浩渺(かうべう)。
秋の已に暮れて
(はな)は稀(まれ)にして香り少なし。
水光山色の人に親しくして
説きて尽くせず 
窮む無く好ろし。

蓮子 已に成り 荷葉 老ゆ。
青露の洗ふは
(うきくさ)の花 汀(みぎわ)の草。
(いさご)に眠る 鴎鷺 頭(かぶり)を回らさず
恨むに似たり
人帰ることの早きを。


《語釈》・風來:風が吹いて来て。
・浩渺:広々とはるかなさま。水の広く茫洋としたさま。
・秋已暮:秋がすでに深まった。晩秋になる。
・紅稀:ハスの花が時期も遅いので少なくなる。
・香少:薫りも減ってきた。 
・少:すくない。ない。かける。
・水光:水面のひかり。・山色:山の色。また、山の景色。・水光山色:秋の自然の光景。
・與人親:人々に親しみを感じさせる。 
・與…:…と。…に。
・説不盡:言い尽くせない。不可能を表す。
・説:言う。
・無窮好:限りなくすばらしい。
・窮:尽きる、限度に達する。
・好:よい。
・蓮子:ハスの実。 ・已成:すでに出来て。
・荷葉老:ハス葉は盛りを過ぎている。。
・青露洗:葉の色を青く映す水滴が、洗うように転がる。
・耋:清らかな露。
・蘋花:うきくさの花。沼地、湿地の花。 
・汀草:水辺の草。
・沙:砂州。
・鴎鷺:カモメやサギなどの水鳥。
・不回頭:鳥は人の方を振り返らない。
・似也:‥‥のようだ。 ・人歸早:人の帰っていくのが早すぎる。

《詩意》
湖の上に風が吹いて来て、波が遥か彼方まで広がっていきます。
季節は早くもすでに晩秋。
ハスの花は希になり、薫りも少なくなってきました。
この水や山の風光は、人に親しみを感じさせ、
語り尽くせないほに、限りなくすばらしいものです。

ハスの実はすでにみのり、ハス葉も盛りを過ぎて、
葉の上に溜まった青い滴が、洗うように水際の水草の上に転がり落ちます。
砂州でねむっているカモメやサギの水鳥は、頭を動かそうともせず、
人の帰っていくのが早すぎるのを恨んでいるかのようです。

《鑑賞》
これは、若いときの作品であろう。
彼女の好きな蓮もここでは物寂しい晩秋の様子として「紅稀」「荷葉老」と描写されています。

・夕されば波こす池のはちす葉に玉ゆりすうる風のすずしさ(玉葉)藤原実房

  秋暮れて
湖に風立ち波を寄せ返す
秋はや暮れて
蓮葉(はちすは)の色香かすみて
山水の光れる色の慕わしく
説きて尽きざる
好しき極み

蓮の実の熟し蓮葉老いたるに
露が洗へる
浮く花と(みぎわ)の草に
眠るかに(かしら)動かぬ鷺鴎(さぎかもめ)
怨むかに似る
人はや去るを


(追加更新09/9/30)



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