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34-漁家傲・寒梅

 漁家傲    李清照

雪裡已知春信至
寒梅點綴瓊枝膩
香臉半開嬌旖旎
當庭際
玉人浴出新妝洗

造化可能偏有意
故教明月玲瓏地
共賞金尊沉儺
莫辭醉
此花不與群花比


《和訓》   
雪の(うち)に (すで)に春信の至れるを知る。
寒梅を点綴(てんてい)して瓊枝(けいし)(つややか)なり。
香れる(かんばせ)半ば開きて嬌として旖旎(しなやか)なり。
当に庭際に
玉人浴み出で 新たに(よそほ)ひ洗ふ。

造化 能く偏へに意有るべし
故に明月 玲瓏の地を教ゆ。
共に 金尊に緑蟻(りょくぎ)沈むるを賞せん。
酔ふを辞すること莫れ
此の花 群花に比せざれば。


《語釈》・春信:春の便り。春の訪れ。
・寒梅:寒中に咲く、早咲きの梅。雪中に咲く寒梅は万花の魁(サキガケ)といわれる。
・点綴(てんてい):点を打ったように、物がほどよく散らばること。また、散らばっている物をほどよく綴(つづ)り合わせること。てんてつ。てんせつ。
・瓊(けい):美しい玉(ぎよく)、美しい物。 
・膩(じ・に):あぶら。つるつるした。
・臉(けん):顔、表情。 ・嬌(きょう):なまめかしい、 愛くるしい。
・旖:(景色が)美しい。 ・旖旎:ひらひらなびきはためく。しなやか。
・妝:粧と同じ。(女性の)装飾、化粧。
・庭際:庭の中。際は端、内側。
・玉人:玉のように美しい人。美人。また、人格の高潔な人。ここは梅花を喩える。さらに自身をも重ね暗示するか。
・造化:大自然、造物主。 ・明月:晴れた夜の、美しく光り輝く月。また、名月。
・玲瓏:玉などが透き通るように美しいさま。また、玉のように輝くさま。
・教:(使役動詞)…させる。「玲瓏な明月が輝き大地を照り輝かさせる」の意。
・金尊:金製の中国古代の酒器。 ・緑蟻:醸したての酒の表面に酒滓が浮いて緑色を呈する。緑の蟻と見える酒滓(さけかす)。新酒の異名。
・此花:寒梅。ともに飲み交わす相手である自分をも暗示するか。・群花 群をなした花。他の花々

《詩意》
雪はまだ消えないのですが、すでに春がやってきたことが知られます。
それは梅の枝に点々と膨らみ始めている蕾のつややかさに表れているのです。
香り豊かな梅の蕾は半ば開き始めていてなまめかしくしなやかです。
それはまさに美しい人が湯浴みして化粧を新たにし庭先に出で立ったようです。

自然はただただ春のこころを顕しうるのです。
ですから、明るい月の下に玉のように輝く庭を見せてくれるのです。
一緒に趣きある盃に新酒を満たして、この春をたたえ楽しみましょう。
酔ってしまうのを躊躇(ためら)うことはありません。
この寒梅(私)の美しさは他の花とは比べ物にならないのですから。



《訳詩》
 寒梅に
雪消えざるも春来たり
枝の蕾のつややかに
薫る(かんばせ)(なまめ)きて
()みて化粧の新たしき

晴れたる空に月白く
照り輝ける庭に出で
共に杯満たしてむ
この花こそは美しと


(追加更新09/10/3)

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