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49-瑞鷓鴣・雙銀杏


 瑞鷓鴣
  雙銀杏    李清照

風韻雍容未甚都
尊前甘橘可為奴。
誰憐流落江湖上
玉骨冰肌未肯枯。

誰教並蒂連枝摘
醉後明皇倚太真。
居士擘開真有意
要吟風味兩家新。


《和訓》   
風韻雍容として未だ都に甚(すぐ)れざるも
尊前の甘橘は 奴と為すべし。
誰ぞ江湖の上(ほとり)に流落するを憐れむ
玉骨氷肌 未だ枯るるを肯(がへん)ぜず。

誰ぞ蒂(たい)の並びし連枝を摘ましむや
酔ひし後の明皇は太真に倚りしに。
居士 擘(つみさ)き開けば真に意有り
風味を吟じ両家新たなるを要(たの)む。


この詞は七言絶句に似ている二首からなっているようにみえ、しかも詞意が連貫していないとも言われる。副題に「雙銀杏」とあるから「銀杏(いちょう・ぎんなん)」の二つの様態(樹と実)を詠ったものか。ちなみに公孫樹は雌雄異株で、実は雌株になる。並ぶ樹に寄せて詠んだものか。
李清照作が疑われている詞のひとつである。

《語釈》
・風韻:すぐれた趣(おもむき)。風趣。雅趣。
・雍容:おうような、おっとりした。
・都:京。都会風の。盛んな美しさの意。・甚:勝る、上回る。きわめて。
・尊前:貴人の前。おんまえ。
・甘橘:みかん。 ・橘:たちばな。ミカン類の総称。
・奴:しもべ。都に対する鄙(田舎者)の意か。己を卑下する語でもある。
・憐:哀れむ。いとおしむ、愛する。
・流落:うらぶれて流浪する。
・江湖:川と湖。長江と洞庭湖。天下各地、広い世間。
・肯:自分の意志で…すること、…する気になる。
・玉骨冰肌:美人の形容。梅の形容。「冰肌玉骨」・冰肌:氷のような罎美くしいはだ。
・蔕:ね、もと、草木の根。へた、ほぞ、果實が枝又莖と結びつく所。
・連枝:「長恨歌」に「在天願作比翼鳥 在地願為連理枝」とある。
・明皇:唐の玄宗皇帝。・太真:楊貴妃。唐の玄宗の愛妃。
・倚:もたれる、よりかかる。「玉樓宴罷醉和春」(長恨歌)
・居士(こじ):仕官せず民間にある高い学徳の人。処士。
・擘:つみさく。手や爪の先で植物などを裂く。両手で割る。
・要:求める、頼む。ねだる。…したい、…するつもりだ。


《詩意》
風趣には和やかなうるわしさがあり都風の美しさには勝りませんが
貴方の御前にある蜜柑はこれより田舎びたものと思います。
だれが都を遠く離れて江湖のほとりを流浪するのを憐れむでしょう
美しい樹肌はまだ枯れてしまったとは言えませんのに。(はたまた私も)

誰が酔った後に玄宗皇帝が楊貴妃に身を寄せていたように
並び連なりあっている枝を摘ませたでしょう。
学徳ある人が実を摘み割き開けばまことに心あるもの
その香りや味わいを吟じて両家(二つの樹)の新たなることを願います。



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