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7.江城子 賞春


 江城子      朱淑眞
   賞春

斜風細雨作春寒。
對尊前、憶前歡、曾把梨花、寂寞淚闌干。
芳草斷煙南浦路、和別淚、看青山。

昨宵結得夢夤緣。
水雲間、俏無言、爭奈醒來、愁恨又依然。
展轉衾裯空懊惱、天易見、見伊難。



《和訓》
  春を賞(め)でて
斜めの風に細き雨ふり 春寒を作(な)す。
尊前に対し、前の歓を憶ふ、曾(かつ)て梨花を把りしに、寂寞として涙闌干たり。
芳草断煙南浦の路、別れの涙に和して、青山を看る。

昨宵 結び得たるは夤(ふか)き縁(えにし)の夢。
水雲の間、俏として言無く、爭奈(いかん)せん 醒め来たり、愁恨又依然たり。
衾裯に展轉として空しく懊悩し、天の見るは易く、伊(かれ)に見ゆるは難し。



《語釈》
・春寒:春の寒さ。余寒。
・作:…とする、…にする。起きる、起こす。催す。
・對尊前:酒盃を前にして。飲むとき。・尊前:酒樽(さかだる)の前。樽前。
・憶:思い出す。
・闌干:涙などがぽたぽたと多量に滴り落ちるさま。 長恨歌の一節に「玉容寂寞涙闌干、梨花一枝春帶雨」がある。
・芳草:春の草。
・斷煙:ちぎれちぎれに立つ煙。靄。
・和: ‥ながらに。‥とともに。
・南浦、青山:地名ではなく、しみじみ心に沁みる自然の姿であろう。
・夤:敬い恐れる。深い。・縁:えにし。つながり。特に、男女の間のえん。
・水雲間:水と雲の間。天地の間。
・悄:ひそやか。静まりかえった、音のない。 物悲しい、憂うつな。
・爭奈:いかんせん。
・依然:前と変わらないさま。もとのとおりであるさま。
・衾裯:布団。布団とかけ布。・衾:ふとん。・裯:ベットのおおい。
・展轉:展転、寝返りを打つ。
・懊惱:悩みもだえる。 憂え悶える。憂える。
・天:空。季節。気候。
・易:たやすい、平易な。
・見:会う。 
・伊:彼、彼女。


《詞意》
  「春をいとおしむ」
斜めの風に細い雨がまじり 春の寒さを増しています。
盃を前にして、昔二人で梨の花を把って楽しかったを思い出し、
ひとりひっそりさびくしていると涙がぽたぽたと滴り落ちます。
春の草とちぎれる雲の南浦の路に、別れの涙ともに、青山を看ます。

昨日の宵 二人の深い契りの夢を見ました。
目覚めると、この世界は、ひそやかに静まりかえって、前と変わることなく、愁いに満ちていました。
ベットで寝返りを打って虚しく憂え悶えています。春の空を見るはたやすいのに、夫に会うことのなんと難しことでしょう。



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