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9.眼兒媚 (遲遲春日弄輕柔)


  眼兒媚     朱淑眞

遲遲春日弄輕柔、花徑暗香流。
清明過了、不堪回首、雲鎖朱樓。

午窗睡起鶯聲巧、何處喚春愁。
冤民椴、海棠亭畔、紅杏梢頭。



《和訓》
遅々たる春日軽柔を弄び、花の径に暗に香の流る。
清明過ぎ了へ、首を回らすに堪えず、雲の朱楼を鎖せり。

午の窓は睡(ねむり)より起き 鶯の声巧みなり、何れの処より春の愁いの喚ばふや。
そは緑楊の影の裡(うち)、海棠の亭の畔(ほとり)、紅き杏の梢の頭(さき)。


《語釈》
・遲遲:春日が長くのどかなさま。
・弄:もてあそぶ。思うままにあやつる。弄(ろう)する。
・輕柔:春風が軽く柔らかに吹くさま。
・徑:小道
・暗:あんに。ひそかな(に)、ぼんやりした。かかすかにかくれる。
・清明:清明節。二十四節気の一、新暦4月4〜6日ころ。
・了:動作あるいは変化がすでに完了したことをしめす助詞。
・不堪:堪えられない。春の愁いに堪えられないが、振り返らずにはいられない。
・回首:こうべをめぐらす。ふりかえる、思い起こす、回想する。
・鎖:とざす。外部から切り離す。
・朱樓:朱塗りの楼台。(女官の部屋。)
・喚:よばう。呼びつづける。
・冤漫Э稽个量。
・海棠:バラ科の落葉低木。海棠の花は美人のなまめかしさにたとえられる。
・亭:庭に設けた、眺望や休息のための小形の建物。あずまや。
・梢頭:こずえの先端。


《詞意》
春の日はのどかに、春風が軽く柔らかに吹いて、花の小道にほのかに香が流れます。
清明節も過ぎましたが、春の愁いに堪えず、雲に朱楼は閉ざされたまま。

遅くねむりよりさめると ひるの窓には 鶯の声が心地よく響いています、一体どこから春の愁いを呼び続けているのでしょう。
それは薄緑に染まる柳の陰から、海棠の咲くあずまやの横から、それとも紅い杏の花を付ける梢の先あたりからでしょうか。



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