宋詞鑑賞・李清照・朱淑真  下の●●目次●●からどうぞ。

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13.點絳唇 (黄鳥嚶嚶)


 點絳唇     朱淑眞

黃鳥嚶嚶、曉來卻聽丁丁木。
芳心已逐、淚眼傾珠斛。     

見自無心、更調離情曲。      心(一作聊)
鴛帷獨。
望休窮目、回首溪山僉



《和訓》
黄鳥嚶嚶と鳴き、暁来却(かへ)って丁丁木を聞く。
芳心已(すで)に逐ひ、涙眼珠斛を傾くる。

見るは無心にして、更に離情の曲を調(しら)む。
鴛の帷に独りなり。
窮むる目を休ませて望むに、首を回らせば渓も山も緑なり。


《語釈》
・黄鳥:ウグイスの異名。
・嚶嚶:鳥が互いに鳴きあうさま。鳥の鳴き声の擬声語。友を求める声。
・曉:夜明け。・曉來:明け方になって。
・卻:逆接の関係を示す。かえって。(予想などとは)反対に。逆に。
・丁丁木:木を切る音木を打つ音などが響きわたるさま。
・(補)『詩經・小雅』の「伐木丁丁、鳥鳴嚶嚶。」は「鳥の友を求むるを以て、人の友無かる可からざるに喩う。人能く朋友の好を篤くすれば、則ち辰稜靴鱠紊い董⊇に和らぎ且つ平らかならん。」とつづく。
・芳心:芳志。気持ちを敬っていう語。美しいたましい。
・已:早くも。すっかり。終わる。
・逐:追う。捕らえるために急いで行く。せき立てて先へ進ませる。
・涙眼:涙にぬれた目。
・斛:枡(ます)。・珠斛:玉盃(たまのさかずき)。
・無心:心が何にもとらわれていないこと。・見自無心:無心に見る。何の気なしに見る。
・更:いっそう。あらためて。それに加えて。
・調:しらむ。演奏する。
・離情:別離の情。
・鴛帷:麗しいとばりの垂れた婦人の部屋。
・鴛:鴛鴦(えんおう)=オシドリは雌雄相親みて離れず、故に夫婦の和睦するに喩える。
・帷:室内に垂れ下げて隔てとする布。たれぬの。たれぎぬ。とばり。婦人の部屋。
・獨:その人しかいないこと。相手や仲間がいないこと。
・窮:極限に達する。徹底的に、とことん ・窮目 じっと見る。
・溪山:谷と山と。隠棲の地。隠棲することの暗示?。

《詞意》
鶯が嚶嚶と鳴き交わし、明け方になると丁丁と木を打つ音が響ききこえます。
心は早くもせき立て、寂しく涙で潤む目で珠の斛(ます)の酒を傾けています。

春の過ぎ行くのを無心に見、こと新しく離情(わかれ)の曲を演奏してみます。
麗しいとばりの垂れた部屋には私ただ独り。
じっと見るのはやめにして外に目をやりますと渓も山も緑に染まっているのです。



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