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15.蝶戀花 送春


 蝶戀花     朱淑眞
  送春

樓外垂楊千萬縷、
欲系青春、少住春還去。
猶自風前飄柳絮、隨春且看歸何處。

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便做無情、莫也愁人苦。
把酒送春春不語、黃昏卻下瀟瀟雨。


《和訓》
  「春を送る」
楼外の垂楊は千万の縷をたれ、
青春(はる)を系せんと欲し、少(いささ)か春の還へり去るを住(とど)めん。
猶自(なほ)風前に柳絮を飄(ひるがへ)すも、春に隨ひ且(しば)し何処へ帰るかを看ん。

緑山川に満ち杜宇を聞く。
便做(たと)ひ無情なるも、なほ愁人の苦しむ莫れ。
酒を把りて春を送るに春は語らず、黄昏に却って下(ふ)るは瀟瀟たる雨。


《語釈》
・送春:春を送る。過ぎゆく人生の春を見送る。
・垂楊:「垂柳(すいりゆう)」に同じ。シダレヤナギ。
・縷:糸。柳の細い枝。
・欲系:繋ごうとして。春を繋ぎ止めようとして。・系:繋(つな)ぐ、結ぶ。
・青春:季節を示す「青春、朱夏、白秋、玄冬」のはる。青年時代。
・少:少し。僅か。
・住:留まる。
・還去:さらに行く。やはり過ぎていく。
・猶自:いまだに。よりいっそう。…でさえ、なおかつ。
・風前:風の前。風のあたる所。風前之燭で人生のはかなさをいう。
・飄:ひるがえる。ひらひらと吹かれて飛ぶ。柳絮が飛ぶこと。
・柳絮:柳の綿毛。
・隨春:春に従う。春と一緒になって。
・且看:しばし見る。暫く見る。
・歸何處:どこへ戻っていくのか。
・杜宇:ホトトギス。
・便做:たとえ…でも。よしんば…しても。
・無常:思いやりに欠けること。
・便:すでにもう、早くも。まさしく、ほかでもない。
・做: …になる、担当する。装う。
・莫:なかれ。・也:判断を示す助詞。
・把酒:酒を持つ。酒杯を取る。
・黄昏:たそがれ。
・卻:かえって。意に反して。
・下雨:雨が降る。降雨。
・瀟瀟:雨が寂しく降るさま。しとしとと。


《詞意》
街には薄緑に染まった枝垂れ柳の枝が繁り続いています。
春(吾が青春)をつなぎ止めようと願い、ほんの少し春が過ぎ行くのを留めたいと思います。
春風にはかなく柳絮が吹かれ飛んでいますが、春とともに暫くは何処へ帰っていくのか見ていましょう。

山河には新緑が満ち溢れ、不如帰(ホトトギス)の声が聞こえます。
その鳴き声がたとえ思いやりに欠けるとしても、春を愁うる人が苦しむことはありませんでしょう。
過ぎゆく春を見送り惜別の杯を持ちますが、春は何も語ってくれず、ただ黙って過ぎ去っていくのを見送るばかりです。
たそがれ時になるや思いがけず、雨がしとしとと寂しげに降り出しています。



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