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16.菩薩蠻 (山亭水[木+射]秋方半)


 菩薩蠻      朱淑眞

山亭水榭秋方半、鳳帷寂寞無人伴。
愁悶一番新、雙蛾只舊顰。

起來臨繡戶、時有疏螢度。
多謝月相憐、今宵不忍圓。



《和訓》
山亭水榭は秋方(あき)半ば、鳳帷の寂寞として人の伴ふ無し。
愁悶は一番新たに、双蛾(まゆ)は只だ旧に顰(ひそ)む。

起き来たって繡戸に臨み、時有りて疏(まれ)に螢の度(わた)る。
月の相ひ憐むを多謝し、今宵の円(まどか)なるに忍びず。


《語釈》
・山亭:山中のあずまや。山荘。
・水榭:水辺のあずまや。水ぎわの亭。・榭:屋根のあるうてな、あずまや。
・秋方:秋。・方 場所・方向・時間を漠然と示す。…のあたり。…の方(ほう)。ころ。
・鳳帷:鳳凰の縫い取りをしている帷(とばり)・鳳:鳳凰(ほうおう) 。 ・帷:垂れ幕。たれぎぬ。とばり。
・寂寞:ひっそりとしてさびしいさま。
・愁悶:うれえ、もだえること。
・一番:最も。この上なく。景色や味わいなどの種類をいう。
・双蛾:美人の眉(まゆ)。
・只:何事もないこと。無事。取り立てるほどのことのないさま。むなしいさま。
・舊:旧。時を経た、古い。時代遅れの。
・顰:ひそむ。顔つきなどがゆがむ。 泣き顔になる。
・起來:起きあがる。
・繡:刺繡(ししゆう)する、縫い込む。・繡戶:縫い取りのあるドア。
・有時:時折。時には。時々。時たま。
・疏:まばらにする、密接でない。
・度:渡る。
・多謝:深く感謝する。ありがとう。
・相憐:憐れみあう。・相:互いに、ともに。・憐:あわれむ。賞美する。めでる。惜しむ。
・不忍:忍びない、がまんならない。たえられない。見ていられない。
・圓:まるくて欠けたところのないさま。


《詞意》
山辺水辺の東屋ははやくも秋半ばとなりました、
おおとりの縫い取りのあるカーテンの内はひっそりとして誰もいません。
独り憂え悶えてこの上なくその想いを新たにして、
美しく描いた眉をむなしく昔の想いにひそませています。

起きあがり縫い取りのあるドアをあけ、その傍らで
時折まばらに螢が飛びわたるのを見ています。
月がともに憐れんでくれるのに深く感謝しますが、
今宵の月はあまりに円く明く、見てはいられません(悲愁にたえられません)。



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