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20.鵲橋仙 七夕



鵲橋仙      朱淑眞
   七夕

巧雲妝晚、西風罷暑、小雨翻空月墜。
牽牛織女幾經秋、尚多少、離腸恨淚。

微涼入袂、幽歡生座、天上人間滿意。
何如暮暮與朝朝、更改卻、年年歲歲。



《和訓》
巧みなる雲の妝(かざ)れる晩、
西風 暑を罷(しりぞ)け、小雨翻り空しく月墜(お)つ。
牽牛織女幾ら秋を経つるや、
尚ほ多少(いかばかり)、離腸の恨みの涙あらむ。

微(かす)かなる涼しさ袂に入り、幽(かそけ)き歓びて生(あ)れ座して、
天上人間に意(こころ)満つ。
何如(いかん)か暮暮と朝朝、更に改たむるや、年年歳歳。


《語釈》
・巧:巧む。技巧をこらす。たくみな技術。
・妝:かざる。化粧する、装う。ここは夕焼けをいう。
・西風:西から吹く風。にしかぜ。秋風。
・罷:まく。しりぞける。
・翻:ひるがえる。高く上がってひらひらと動く。
・空:うつける。寂しい。人のいない。うつろである。
・墜:おちる。ぶら下がる。衰へる。
・牽牛織女:七月七日の七夕(たなばた)に天の川に隔てられた牽牛と織女が年に一度出逢うという伝説。・牽牛:牛飼い。彦星。・織女:織り姫。・七夕:乞巧奠(きっこうてん)
・幾:いくつ。いくら。どんなに。どれほど。
・尚:なお。ますます。よりいっそう。まだ。
・多少:どれくらい、いくつ。どれだけか。
・離腸:甚だしい別離の悲しみ。断腸の思い。
・袂:たもと。袖。
・幽:かそけし。かすかである。淡い。
・生座:生まれわす。おいでになる。来られる。
・天上人間:天上世界と人間世界。
・滿意:みちあふれる。
・何如:どのようであるか、どうか。どうして及ぼうか。なんぞしかん。
・暮暮與朝朝朝:毎夕毎朝。暮も朝もいつもいつも。
・卻:助字として他の動詞の下に添える。
・年年歳歳:毎年毎年。
  劉希夷(651〜678)の「代悲白頭翁」に 
  年年歳歳花相似 (年年歳歳花相似たり)
  歳歳年年人不同 (歳歳年年人同じからず)がある。


《詞意》
美しく彩られた雲がたなびく晩です、
秋風が残暑をしりぞけ、小雨が風に舞うなか空しく月は沈んでいきます。
彦星と織り姫はどれほどの逢瀬の秋を過ごしたでしょう、
さらにまたどれほどに、別離の悲しみに涙ながすのでしょう。

風が袂に入ってほんの少し涼しさが増し、淡い歓びが生まれます、
天上世界も人間世界も秋の気配が満ち、想いも満ちてきます。
暮に朝にいつもいつも、いえいえ、毎年毎年繰り返されるこの喜びと悲しみをどうしたらいいのでしょう。



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