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補11 青玉案 「春日懷舊」一年春事都來幾


 青玉案     李清照
(「春日懷舊」)
一年春事都來幾、早過了、三之二。
儖店晩挿娉鳥。
冤鳴躅 暖風簾幕、有個人憔悴。
 (幕=莫)(個=箇)
買花載酒長安市、又爭似、家山見桃李。
不枉東風吹客淚。
相思難表、夢魂無據、惟有歸來是。

(一説に歐陽修作)


《和訓》
一年の春事 都(すべ)て幾(いか)ほど来たるや、早や三のうちの二を過ぎぬ。
緑暗く紅嫣(あざ)やかに、渾(すべ)て可(よ)き事なり。
緑楊の庭院、暖風の簾幕、しかして個人には憔悴の有り。
花を買ひ酒を載する長安の市、又争(いかで)か家山の桃李を見るに似(し)かむ。
枉(むなし)からず東風(こち)客の涙を吹く。
相思表すに難く、夢魂據(よるべ)の無く、惟だ帰り来たりて是に有り。


《語釈》
・都:すべて。一般的にいって。大体。総じて。都はよせ合せる義。
・嫣:(容貌が)美しい、器量のよい。色彩が鮮やか。
・渾可事:自然によく合ったこと。・渾:すべて。天然の、自然のままの。
・庭院:中庭。
・簾幕:スダレと幕。帷幕。
・個人:(自称として)私。
・載酒:酒席を設ける。酒宴の用意をする。
・爭:なぜ、どうして。
・似:しく。匹敵する。かなう。およぶ。
・家山:ふるさと。故郷。
・枉:曲がる、歪める。無駄に。いたずらに。むなしく。しいたげる。
・東風:春、東から吹く風。こち。
・客:旅客。異郷に滞在あるいは寄留する(人)。ここは自身のこと。
・相思:(離ればなれで)思うにまかせぬ切なさ。
・據:よる。…に従って。依存する、頼みとする。よるべ。



《詞意》
今年の春も早くも半ばを過ぎてしまいました。
緑はいよいよ濃く花の紅も鮮やかで時の移ろいは自然のままに変わり有りません。
柳の新緑に包まれた中庭、暖かい風が揺らすカーテン、その中で私にはやつれ果てています。
宴席の華やかな都で花を買っても、どうして故郷で桃の花を見るのに敵いましょう。
いたずらに風が異郷にある私の涙に濡れた頬を吹きすぎます。
この切なさは現し難く、夢見る魂は頼りにするところも無く、ただここに一人帰るしかありません。


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