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一 絶句 (夏日絶句・烏江)

  絶句 (夏日絶句・烏江)
      李清照
 生當作人傑,
 死亦爲鬼雄。
 至今思項屐
 不肯過江東。


生きて、当に、人傑と()り、
死して、亦、鬼雄と()るべし。
至今(いま)、項羽を思ふ、
江東()たるを肯せんせざるを。


・烏江・・安徽省を流れる川。項羽が劉邦によって滅ぼされた地。
・人傑・・衆に抜きんでて優れた人物。
・鬼雄・・幽鬼の中でぬきんでている者。殉国の英雄。
・至今・・今に至って。今なお。

【詩意】
人間は生きている間、人傑になるべきである。
たとえいつか死ぬ時になっても、鬼中の英雄になるべきのである。
今になっても、私は昔の項羽のことを懐かしく思ったのだ
彼はすくなくでも、死んでも、江東へ戻らないという気迫があったのだ。
 生きては豪傑となり
 死してまた英雄となれ。
 いま項羽を思う、
 逃げずに自刎した彼を。


この詩は、秦(前221-前206)末の武将、項羽(前232-前202)の物語を借用して、異民族の金に侵略され南方に逃れる皇帝と官僚たちの腐敗と不甲斐無さを批判諷刺するもの。
項羽は秦の暴政に対し立ちあがり、その強力な戦闘力により勝利し続けたが、最後に垓下で劉邦に敗れる。その際、追い詰められた項羽は逃げようと思えば逃げられたが、逃げては決起した時に江南から連れてきた8000人の若者の父母に会わせる顔がないといい自刎する。詩の、死してなお英雄となった、とはこの行為を指す。こうした歴史を表に出して、憤慨する気持ちを強く表現した詩であろう。


この時の項羽の詩。
 垓下歌  項羽
力拔山兮氣蓋世,
時不利兮騅不逝。
騅不逝兮可奈何,
虞兮虞兮柰若何。

力 山を抜き 気 世を蓋う
時 利あらずして 騅 逝かず
騅の逝かざる 奈何すべき
虞や虞や 若を奈何せん
(自分の力は山を抜き、覇気は世を覆うほどであるというのに、時勢は不利であり、騅(すい)も前に進もうとはしない。騅が進まないのはどうしたらよいのだろうか。虞(ぐ)や、虞や、お前の事もどうしたらよいのだろうか)騅は名馬、虞は項羽の愛妾で、自殺した虞美人の伝説はヒナゲシに「虞美人草」という異名がつく由来となっている。


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