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四 偶成


  偶成  李清照
十五年前花月底,
相從曾賦賞花詩。
今看花月渾相似、
安得情懷似往時。 

十五年の前 花月の(もと)
相ひ従ひて(かつ)て花を(たた)ふる詩を賦しき。
今 花月を看るに(あたか)も相ひ似たるも、
(いづく)んぞ往時に似たる情懐を得んや。



・底・・下。「花底、はなのもと」
・相從・・(いっしょ)に寄り添う。 ・從・・したがう。附き添う。
・曾(かつて)・・以前。前に。
・賦・・(詩を)作る、吟ずる。
・渾(すべて・あたかも)・・すっかり、まるで、ほとんど。すべて、まったく。ほとんど…ばかり。
・安・・怎。(疑問・反語を表す語を下に伴って)どうして。なんで。

【詩意】
花と月の美しかった十五年も前の春の宵、その花と月の光のもとで、
夫と二人共に花を愛でて詩を創ったことがありました。
夫亡き今 花も月もまるで以前のままに美しいのですが
どうしてあの時の心浮き立つ想いを蘇らすことができましょう。


この詩は夫趙明誠が亡くなった後のものであるが、具体的な時ははっきりしない。
目の前の景色が以前夫といっしょにいた幸福だった生活を呼び覚まし、感慨深く思い、今の辛さが更に増幅される心情を詠っている。


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